画像診断部

被ばくに関するQ&A

CT検査の被ばくは、どのぐらいなのでしょうか?
CT検査にはX線が使われます。その放射線の量(「線量」といいます)は、撮影部位(頭部・胸部・腹部・全身など)や撮影手法により異なり、1回あたり5-30mSv程度です。胸部X線撮影のような線量が少ない検査(0.06mSv程度)に比べると、CT検査の線量は100倍以上多くなります。
線量とリスクの関係で科学的知見から言えることは何でしょうか?
大量の放射線に被ばくすれば、がんのリスク(危険度)が増えることは多くの研究で明らかになっています。しかし、CT検査で受けるような100mSv以下の被ばくとがんの関係については、科学的に明らかにされていません。CT検査で受ける程度の放射線によってがんリスクが増えるかどうかを実証することは地域差、人種差もあり非常に困難です。仮にリスクが増えたとしてもその大きさは他の要因によるがんリスクと比べてかなり小さいと見積もられます。
CT検査の線量でがんになるのでしょうか?
仮に100mSv以下の被ばくでもリスクが増加すると仮定した場合、計算上は、1万人中数人ががんで死亡することになります。ただし、検査を受けなくても3人に1人はがんで亡くなっています(日本の場合)。繰り返しますが、CT検査で受けるような少量の放射線とがんのリスクの関係については、科学的に明らかにされていません。放射線防護の立場からは、人体を防護するための基準は、放射線に少しでも被ばくすればがんのリスクが直線的に増えるという仮定を用いています。その仮説では1万人が10mSv(およそCT検査1回分に相当)を受けた場合、その中で5人が、その放射線被ばくに起因するがんで死亡すると推計されます。一方、放射線被ばくを受けなかったとしても、1万人中約3,000人ががんで死亡します。このようながんについては、個人ごとで見るとほとんどの場合は何が原因でがんになったかはわかりません。しかし集団でみると、喫煙、食事、ウィルスや環境汚染物質など、一般の生活環境における要因が原因でがんになるケースが多いと考えられています。CT検査の放射線被ばくによってがんのリスクが増加すると仮定するとしても、その増加分は他の原因によるがんリスクと比べて非常に小さいと考えられます。
小児と成人で放射線の影響は違うのですか?
一般的に、小児の方が放射線の感受性が高いことが知られています。
小児は、成人に比べて放射線を受けてから長い期間を生存するため、検査のリスクも、できるだけ低く抑えることが大切です。実際、小児の検査をする場合、放射線の照射条件を調整し、線量を低減する取り組みが行われています。
CT検査などを何度も繰り返しています。その度に、がんのリスクは高くなっているのでしょうか?
100mSv以下の被ばくでもリスクが増加するという仮説が正しいとした場合は、がんのリスクが高くなっている可能性があります。しかし、個人の健康を総合的に考えると、検査結果を元に医師が適切な医療行為をすることで、がんのリスクが増加したよりも、検査によって病気の状況がわかることのメリットの方が大きくなると考えられます。
また、人体には回復機能があります。ある線量を何回かに分けて受けた場合には、同じ線量を一度に受けた場合よりもリスクが小さくなることが知られています。
CT検査などを繰り返しても単純にリスクが累積されるものではありません。検査を受け、病気の発見や治療効果を確認することの方が患者さんにとってメリットがあります。
被ばく低減のために何かしていますか?
当院では比較的線量が高いといわれているCT検査については、被ばく低減機能を搭載したCTを使用しています。体格に応じて線量が自動的に低減されるように調整される機能(自動露出機構)、また画像を作成する際、線量を従来よりも少なくし、同等の画質が得られる計算処理機能(逐次近似応用再構成法)により、被ばくの低減を行っています。