外来ミニ講座(コラム)
「糖尿病」豆知識

2024.05.01

糖尿病は英語で「Diabetes Mellitus(ダイアベティス メリタス)」といいます。

糖尿病の歴史は古く、紀元前1500年頃の古代エジプトのパピルスに「尿があまりにもたくさん出る病気」と記載され世界最古の記録と認められています。
            
2世紀に、ローマの医師が「肉や手足が溶けて尿となる。がぶがぶと水を飲み、尿はとどまることなく流れ出てくる。急速に消耗し死に至る。まるでサイフォンのように水を通してしまう病気である。」と記録していて、サイフォンという意味を持つ「Diabetes(ダイアベティス)」という言葉が使われるようになりました。
その後、尿崩症(にょうほうしょう)と区別するために「蜜のように甘い」を意味する「Mellitus(メリタス)」が付けられました。 

日本でも古くから糖尿病はありましたが、昔はどのような名前で呼んでいたのでしょうか?
実は10世紀頃の日本では、紀元前の中国医書に書かれていた「消渇(しょうかち)」という名前を用いていました。
今では「消渇」という名前は全く聞きませんので驚きですよね。

      

ところが幕末に入ってからDiabetes Mellitusを翻訳した「蜜尿病」が用いられるようになり、明治期には「蜜尿病」とあわせ「糖尿病」を混在して使用するようになりました。
その後、1907年第4回日本内科学講演会後に「糖尿病」に統一され、現在に至っています。 ちなみに、日本史に登場する最初の糖尿病を持つ人は、平安時代に権力と富を手にした藤原道長が知られています。そして夏目漱石や北原白秋も知られています。

      

「糖尿病」とひとくくりで呼ばれることが多いこの病気、実は下にある「糖尿病の分類」のようにいくつかの種類に分かれています。この中で1型はインスリンを分泌できなくなる病気、2型は生活習慣だけでなくもともとの体質によるところも大きい病気です。ところが「自己管理ができず食べ過ぎる人」などという誤解が生まれ、患者当人から見れば、周囲の人に正しく理解してもらえないといった側面もあります。

現在、糖尿病は成り立ちによって以下のように分類されています。

昔、糖尿病は死の病気でしたが、現在では内服薬、注射薬、インスリンの種類もかなり増えました。
これからも更に進歩していきます。
                 

当病院の糖尿病教室は誰でも参加できます。糖尿病に興味を持たれましたら、是非糖尿病教室にお越しください。
  尼崎中央病院 糖尿病教室  https://www.chuoukai.or.jp/about/about05/tounyou/